Pj-009 御札ディスプレイ

ちょうど一年前の記事です。

私のブログにしては珍しく、ずいぶん細かく手順を追って記事にしています。

基本的には自分の備忘録として描き続けているブログだったのですが、このころからようやく『読者』を意識し始めたのかもしれません。

 

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①着想~材料粗取り~大留め

 

一年ほど前から各地の神社の御朱印集めを趣味にしている妻が、お札を納める器を作って欲しいという。


こんなのを、と。

お、いぃねぇ。
ちょうど今正に私が集中トレーニングしている大留め接ぎの、格好の題材になりそう。

神仏モノといえば、大分前に作った

 


これとか、


これなんかは、べつにそのつもりはなかったにも関わらずなんだか仏具っぽくなってしまった。節が無くて白い木肌がとても綺麗なこの素材の佇まいが、そう思わせるのだろう。

よし、これだ。
久しぶりにセレクトSPFを使おう。

と言うわけでやってきましたカインズ。

 

 

どれも綺麗な売り場の在庫から更に吟味した1×4材を、350×40サイズにカット依頼。

 

長らく車のハッチバックに眠らせていた改造電気カンナと定盤をやおら取り出し、

 

まずは基準面となる一面を整える。

びぃいいいい〜ん!!という、プレナー独特の凄まじい騒音をも許容してくれるここの工房は本当に有難い。

 

基準面を出し終えて、次は杉田式自作幅ぎめジグとブロックプレーンで木端面を整えつつ幅を決める。

 

幅ぎめを終えたら、縦横それぞれ二本ずつをOPPテープで繋ぎ、同じく杉田式大留めジグで留め切りしていく。

まずはアサリなしクラフトソーで荒切りし、

ブロックプレーンで仕上げる。

 

各部材、大留め切り終了。

 

       

仮組み、OK!
よーしよしよし。
今日はここまで。

移動に往復2時間、作業時間3時間。

以前に比べたら多少手際よくできるようにはなったものの、やはり手間をかけている事に変わりはない。

同じ作業を、例えば木工用の昇降機付きテーブルソーを使ってやれば、作業時間は1/10になると思うし、本職プロの職人さんなら間違いなくそうするでしょう。こんな悠長な手仕事でやってたら、おまんま食えない。

でも、逆から言えば。

何十万何百万の工作機械や専用の広大な作業環境など持たなくても、作業できるフリースペースと、最低限の工具と、気の利いたジグと、あとは作業そのものを楽しむマインドさえあれば、こうした本格木工だってDIYの地平に落とし込む事が出来る。

これって、本当に素晴らしい事だと私は思うのです。
何より楽しいし。

さぁ、件のお札ディスプレイ。

この後は仮組みを一旦ばらし、前面アクリル板と背板用に溝を掘って、本組みし、ちぎりも仕込もう。前縁部分を大きく面加工しても良いかもしれない。そうそう、本組み前に内側のカンナ仕上げを忘れるな。ちぎりでしっかり固定できたら、手鋸とジグで真っ二つに割って、お札を挟み込む為にマグネットを仕込む。いっそ印籠組にチャレンジしてみようか。

あとのべ10時間は楽しめるかな。
楽しみ楽しみ!!

 

②トリマー溝加工~かんな面取り

工房勤務の何が有り難いって、余剰時間を自己研鑽に向けられること。

私が上達すれば、それはそのままこの工房の接客スキル向上に直結するのだから、褒められこそすれ誰にも文句はないはず。
例えそれが他から見れば遊んでいるようにしか見えなくても、それが工房、それが木工、それがDIYなのだから。

労基法下限ギリギリの雇用条件も、そう思えば全然悪くない。

悪くないどころか、我々以上の世代にとっては、「時間」こそが何にも増して貴重なのだから、こうして日常的に自己研鑽に時間を割くことができるこの環境は、同好の諸氏から見れば、まさに垂涎モノでしょう。
実際、工房の隅で私がなにやらトンテンカンやってると、いかにもそういうのが好きそうなお客様が興味有りげに覗き込んでくる。格好のデモンストレーション。

この環境で、僅かずつでも上達しなければ、それこそお天道様に申し訳ない。

と言うわけで前回の続き。
これまた久しぶりに引っ張り出した杉田式トリマーテーブル。
こいつで前回作った縦横かまちにスロット加工していく。

 

 

はい、出来上がり。
あっという間。

次は各かまちの前縁部分をかんなで面加工。

ケヒキでけがいて、

 

ブロックプレーンでしょりしょり。

よっし、まずまず。

と、ここまでは復習おさらい。

次はいよいよ本組みして、ちぎりを入れる。

焦らずじっくり、上達を楽しんでいこう。

 

③ちぎり加工~あるいは道具に習熟するということ

②までで留め切りとスロット加工を終えた縦横かまちに前面アクリル板と背板を組み込んで接着本組みしました、の図。

接着材が乾くのを待ち、今日はちぎりの組み込み。

 

その前に、後で切断するラインを墨付けしてから、

 

ちぎりの場所を墨付け。

杉田式縦切りジグに固定し、

慎重に慎重にノコギリを入れていく。

 

ちぎりの厚み3mmに入れたノコギリ線の内側を、同じく3mm刃幅の一分ノミで落としていく。

落とし終えたスロットに3mm厚のマホガニーを木工ボンドで固定し、マステでとめる。

あとは再びボンドの乾燥を待ち、はみ出たマホガニーを処理すれば、ちぎり加工終了。

というところで今日はここまで。

ところで最近ノミやカンナを使っていて、思い出したこと。

 

子供の頃、ぼぉぉっと自分の腕を眺めながら、ふと不思議なことに気が付いた。

指をぎゅっとにぎったり、ひらいたり。
すると、手首よりずっと肘よりの辺りの筋肉がむくむくと動く。

私の意識は指を動かそうとしているのに、その指を動かす筋肉は、指から随分離れたところにあって、全然意識していないそこらの筋肉が、どうやら指先を動かしているらしい。
その事が、なんだかとても不思議だった。

ノミでもカンナでもノコギリでもインパクトドライバーでも、それら「道具」を使いこなす、「道具」が身につく、板に着く、という事は、つまりそういう事なのかもしれない。

追い入れノミを玄能で打つ時、私の意識は、最初は玄能がちゃんとノミの桂を撃つかどうかに傾いてしまう。ノミの刃先まで意識が届いていない。
そんな状態の時は、大抵ダメ。
全然思い通りに刃が入っていかない。

それでも頑張って続けていくと、やがて玄能を叩く行為は意識から消え始め、それでも玄能はちゃんと打つべき所を打ち、意識は刃先に集中していくようになる。
こうなると、ついさっきまでの苦労が嘘のように、思い通りにノミを運べるようになっていく。

これは多分特別なことではなく、例えば箸で豆を摘む時の感覚とかと同じだと思う。

慌てず、焦らず。

じっくりとそうやっていろんな道具に習熟していこう。

 

④ちぎり加工続き

前回仕込んだちぎりの接着剤も、中1日でしっかり乾燥してるはず。
さぁ、仕上げていこう。

 

アサリなしクラフトソーではみ出たマホガニーをカット。

ブロックプレーンで目違いを払いつつ、各側面を仕上げていく。

   

こ、、、

これは、、、、

、、、いい、、、

いいぢゃないか!!!

実はちぎりに使ったマホガニー、「厚さ約3mm」と表記されていたもので、ノギスで実測してみると2.8mmしかなかった。一方使用したノミは刃福3mmなので、多少隙間ができるかなーと心配していたのだけれども、どうやらボンドの水分で膨らんだらしく、気持ちよくピタッと決まった。これは嬉しい誤算。

これはひょっとして、私史上最高の物になるかもしれない。

業務の合間の端切れ時間を貪欲に使って、少しずつ駒を進めたのが、良い方向に転がっているのかも知れない。

とは言え、ここまでは過去少なくとも1度以上経験してきたスキルばかり。

次はいよいよ初挑戦の、箱のぶったぎり。
これに成功すれば、例えば重箱などの作成も見えてくる。

頑張るぞ!

 

⑤筐体切断~オイル塗装~完成!

今日はお休み。

時間はたっぷりある。

いつもの工房も、お客様としてチェックインすると、やはり少し違って感じる。

さぁ、ラストスパート!

前回墨入れ済の切断線に沿って、アルミアングル材にマグネットシートを貼った直線切りジグを両面テープで貼って、アサリなしノコギリで切ってゆく。

 

この時、完全に切断してしまわぬ様、アイススティックで切り込み深度を制限するのがミソ。そうする事で、4面全て切り終えるまで材を安定して保持できる。

 

そうやって四面全てに深く切り込みを入れたら、改めてノコギリで切り離してゆく。

 

無事、切り離し成功!やった!

因みにこの切り離しノウハウももちろん、

やってて良かった杉田式。

 

若干荒れた切断面は、もちろんブロックプレーンで丁寧に仕上げる。
改めて切断した内部を伺うと、付け印籠仕上げにするには深さが浅過ぎる感じだったので、印籠組仕上げは今回見送り。

と、ここまでやって工房を後にし、ダイソーでお買い物。

こないだのアルブルさんの名刺ケースワークショップで使われてた、ダイソー印の強力マグネット。横目チェックしてきたもんね。
これ、すごいわー。とても100円とは思えない。

直径6mm。

慎重に位置を墨付けし、ポンチでマーク。

6mmドリルで深さ3mm。

 

各面6個、計12個を仕込み終了。

 

施主様(妻)のご希望通り、白木の風合いを際立たせるワトコオイルナチュラルでフィニッシュすれば、

 

    

Pj-009御札ディスプレイ、コンプリート!

参考にさせてもらった市販品は、ディスプレイする場所に合わせて自立用丸棒脚と壁掛けフックが付いていたけど、そのどちらにするかは施主様(妻)のご意向を確認してからのオプションにしよう。

また、市販品は背板にスポンジが仕込まれてて、それと前面アクリルで御札を挟み込む感じらしいけど、それも実際これに入れる御札を貰ってきてから、それに合わせてカスタムしよう。

ひとまずこれで、出来上がり。

楽しかったなぁ。

もちろん、あっちこっち反省点はある。

でも、その反省が、よし、次はもっと上手くやるぞ!というモチベーションになる。

そう。

俺は、もっと上手くなれる。

もっともっと、楽しんでいける!

 

というわけで次の週末。
妻と一緒に彼女の一番のお気に入り、廣田神社へ参りまして。

古い御札をお納めして、新しい御札を頂戴いたしました。

 

  

ものすごくいいぢゃないか!!

 

 

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